Primaria ONLINE 2022年02月号
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 「かかりつけ医」については、最近、その機能を法制上明確化すべきであるとか、「かかりつけ医」認定の制度を設けるべきだという意見が相次いでいる。例えば、昨年10月の健康保険組合連合会の提言、11月の財政制度等審議会の意見などである。 その背景には、今回の新型コロナ感染症への対応において、「かかりつけ医」が十分に機能しなかったことがある。例えば、ワクチンの個別接種は「かかりつけ医」でといわれたが、若い世代では、そもそも「かかりつけ医」がいなかった。また、いわゆる「発熱外来」は地域の医師会の合意が得られず、発熱患者等が円滑に診療を受けられない状況が生じた。 伝統的に日本の外来診療は、自由開業であり、患者はフリーアクセスが原則である。「かかりつけ医」を制度化するということは、この伝統の変更に他ならない。「かかりつけ医」登録制度を設けてはどうか、医師偏在があるから保険医療機関の指定に制限を加えてはどうか、患者のフリーアクセスに緩やかなゲートキーパー機能を設けてはどうかなど議論百出は確実で、そんなに簡単に結論が出るとは思えない。 一方で、データヘルスが進めば、個人の健診、レセプト、カルテ情報がマイナカードに格納される。そして、医療のビッグデータが構築され、AI診断が可能になる。AIは、あらゆる医学知識をもとに診断を下すだろうから、それをもとに薬や診療の推奨も行われることになる。また、オンライン診療も飛躍的に普及していくだろう。そういったデジタル時代の「かかりつけ医」は一体どうなるのだろうか? 今のアナログ時代を前提とした「かかりつけ医」とはかなり様相が異なってくると思うのだが。デジタル時代のかかりつけ医を構想すべきONLINE2022年2月号Ⓒ 2021-2022 iHope International All Rights Reserved.

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