香坂先生の進路を決定づけた変革の時は、学生時代の短期米国研修にあったようです。ボストンでの体験に大きな感銘を受けたものの、自分には、日本人には、日本ではとても無理かなというとショックを受けられたようです。その一方で日本での実習は快適と表現されていたのは興味深いところです。 敬愛する黒川清先生は「ともかくまず海外に行って自分の肌で体験してみることだ」といつも強調されていますが、香坂先生も学生時代のたった4週間の体験から、米国で研修を受けようという気持ちが湧いてきたことと思います。 香坂先生の研修先は、臨床だけでなくリサーチの機会もあったようで、恵まれた環境がありました。帰国後も問題なく臨床と研究を両立されている理由がここにあると思われます。しかし帰国後はそれなりのご苦労があったことは明らかです。柔軟な環境づくりが可能な民間医療施設ではなく、歴史と伝統のある大学病院ではさぞかし大変だったと拝察できます。どんなに優秀であっても、一人の医師が組織内のこれまでの慣習や周囲のメンタリティを変えるなどとてもできないことと思いますが、表情一つ変えずに淡々とお話しされる姿に、香坂先生の芯の強さを感じました。 香坂先生の内に秘めた闘志、外に発信している能力、そして穏やかな協調性を感じ取りながら、大勢の日本の優秀な若手医師が育っていくことと思います。明るい明日を感じることができた取材でした。ONLINE2022年2月号再生速度を変更できます文字でもご覧いただけます今回のインタビュアー上野文昭先生からのメッセージ次のページへⒸ 2021-2022 iHope International All Rights Reserved.Message対談を聞く
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