私のRQは、2016年第13回臨床研究デザイン塾に参加したことで生まれました[図1]。当時駆け出しの腎臓内科医として診療を行う中、腹膜炎や透析量不足など、腹膜透析診療での苦労を多く経験する一方、全くトラブルの無い患者さんも経験し、漠然と腹膜透析は患者によって合う合わないの大きな治療方法のようだと感じていました。そこで、臨床研究デザイン塾に参加するにあたり、この腹膜透析の個人差に関する研究をテーマにしようと考えました。当初、体の大きな患者さんは必要な透析量が多いため、腹膜透析の継続可能期間が短いのではないか、とのRQを立ててデザイン塾に臨みました。3日間の徹底的な議論の中で、腹膜透析離脱という複合要因の絡むアウトカムを溢水、透析量不足、腹膜炎といったよりシンプルな要因に落とし込むこと。また年齢やAlbといった日常診療で測定する指標を用いたリスクの研究は既に一通り行われていることなどが確認できました。塾最終日にそのような発表を行いましたが、実際に研究テーマとして活用できるほどには至らず。残念に思っていたところ、ファシリテーターの京都大学、山崎大先生より採血データなどを用いるのではなく、患者側の特性をスケールで評価するような手法を使ってみてはどうか、との示唆を頂きました。腹膜透析は患者自らが行う治療方法で、特に透析液バッグ交換手技は1日複数回、それもきちんと毎日行う必要があります。その際に菌が混入すると腹膜炎を起こすことがあり、そこから患者の性格傾向によって腹膜炎のリスクが異なるのではないか、との仮説にいたりました。性格傾向は内科医にはあまり馴染みのない指標ですが、パーソナリティ研究の分野では以前から定量化して評価するということが行われているようでRQとの出会い・着想の瞬間ONLINE2022年2月号[図1]第13回腎臓・透析医のための臨床研究デザイン塾 (2016年9月18日‒20日)次のページへ Ⓒ 2021-2022 iHope International All Rights Reserved.
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