ONLINE2022年2月号背景目的対象デザイン対象暴露因子アウトカム指標解析手法結果結論2011年名古屋大学医学部卒業、愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院で初期研修。2014年より同腎臓内科所属。2017-2021年に名古屋大学医学系研究科腎臓内科学博士課程(満期退学)を経て2021年より現職。腹膜透析関連腹膜炎は、腹膜透析の離脱や生命予後悪化と関連するなど、腹膜透析患者にとって重要な合併症である。腹膜透析は透析液交換手技などその治療の多くを患者自身が行うため、個々の患者の性格傾向が腹膜炎の要因となり得るが、これまで検討されていなかった。腹膜透析患者の性格傾向が、腹膜透析関連腹膜炎発症と関連するかどうか検討する。後ろ向きコホート研究。愛知県、長野県の計3個の総合病院腹膜透析外来通院中の成人患者。Japanese version of ten item personality inventory(TIPI-J)による、conscientiousness(誠実性、勤勉性)の測定。腹膜透析導入から初回腹膜炎発症までの日数。参加者をTIPI-Jのconscientiousnessから、more conscientious(more cons)群とless conscientious (less cons)群に分類し、腹膜透析導入から初回腹膜炎発症までの期間を測定した。これらをカプランマイヤー曲線で比較し、さらにcox比例ハザードモデルで年齢、性別を調整した腹膜炎発症のハザード比を比較した。111人の参加者のうち、32人が腹膜炎を発症した。64人がmore cons群に、47人がless cons群に分類された。Less cons群では全観察期間中の年齢、性別で調整した腹膜炎発症リスクが高い傾向にあった(ハザード比 1.99、95%信頼区間 0.98‒4.03、p=0.057)。腹膜透析導入後1年間では、年齢、性別で調整したless cons群の腹膜炎発症リスクは有意に高かった(ハザード比6.98、95%信頼区間 1.42‒34.4、p=0.017)。Less cons群の腹膜透析患者は、全観察期間における腹膜炎の有意な差は認めなかったものの、腹膜透析導入後早期の腹膜炎発症リスクが有意に高かった。TIPI-Jを用いて性格傾向を評価することは、患者教育やフォローアップに有用である可能性が示唆された。Ⓒ 2021-2022 iHope International All Rights Reserved.小松 真太郎 Profile名古屋大学大学院医学系研究科 附属神経疾患腫瘍分子医学研究センター 分子腫瘍学研究室 研究員研究タイトル勤勉性と腹膜透析関連腹膜炎との関連書誌情報タイトル:Association between conscientiousness and peritoneal dialysis-related peritonitis著 者:Shintaro Komatsu, Takashi Hara, Maki Hiratsuka, Yosuke Yamada雑誌名:Nephrology(Carlton)出版情報:2021 Dec;26(12):999-1006. 臨床研究の
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