Primaria ONLINE 2022年02月号
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  I Iワクチンの効果を過小評価する方向に働くかもしれません。その他の問題点としては、チャネリングバイアス(臨床医が患者の予後に基づいて治療を処方する傾向のこと。例えば、予後不良と考えられる患者に、より高い効果を「期待」するため、新薬が処方されやすいなど。これは測定できない交絡です)、データが取得できない施設でワクチン接種を受けた人やCOVD-19と診断される人がいる可能性があることがあげられます。交絡因子の対処として、取得可能であった交絡因子を多変量回帰分析で調整しています。この研究では、曝露として未接種、1回接種、2回接種を比較しています。通常、対象者はワクチン未接種の状態から、1回目接種を行い、その1か月後に2回目接種をします。対象者個人の中で時間とともに変化する要因(曝露)や交絡因子のことを時間依存性共変量と言います。この研究ではワクチン接種を時間依存性共変量として扱い、時間依存性Cox回帰分析が行われています。KPSC医療システムの登録患者を研究対象としています。KPSCは、社会経済的にも人種的にも多様な地域の人々を代表する400〜700万人以上の会員を擁する総合的な医療保険です。ただし医療保険に入れないような人は含まれないため、このような集団に対して、本研究の結果を適応して良いかについては注意が必要です(一般化可能性の限界)。COVD-19の罹患や入院は社会的弱者で特に問題が大きいため、この一般化可能性の限界は本研究の重大な限界点の一つと考えられます。 本研究の結論は、「デルタ株流行下でも、ワクチン2回接種してから6か月程度までは、入院の予防に対して高い効果を発揮することが示された。★研究上で行われている対処方法★この方法で一般化できるか?★結果と結論は乖離していないか結果の解釈ONLINE2022年2月号次のページへⒸ 2021-2022 iHope International All Rights Reserved.

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