ONLINE2022年2月号SARS-CoV-2感染症(COVID-19)に対するワクチンの有効性の低下に対して、デルタ株の影響と、時間経過による影響の区別が十分になされていなかった。米国の大規模保険データに登録された患者を対象に、BNT162b2(ファイザー・バイオンテック社のワクチン)未接種、1回接種、2回接種によるCOVID-19罹患とその関連入院に対する有効性を、変異株別、時間経過別に検証するための過去起点コホート研究を行った。解析対象になったのは3,436,957人で、罹患に対する有効性は、2回接種後1か月間は88%[95%CI86-89]であったが、5か月後には47%[95%CI43〜51]に低下した。デルタ株に対する有効性は、2回接種後1か月間は93%[95%CI85-97]で、4か月後には53%[95%CI39-65]に低下した。デルタ株以外の有効性も、2回接種後1か月間は97%[95%CI95-99]と高かったが、4〜5か月後には67%[95%CI45-80]に低下した。デルタ株の感染による入院に対するワクチンの有効性は、6か月目でも93%[95%CI84-96]と高かった。 京都大学医療疫学教室では、編集長が教授であった時代から、毎月全員でジャーナルクラブを開催してきました。世界の4大誌の最新号を担当者が要約し、皆で批判的に議論します。このコーナーでは、その一端をお見せしたいと思います。このコーナーの読み方PDF次のページへ執筆担当:京都大学大学院医学研究科 医療疫学分野 山本 良平Ⓒ 2021-2022 iHope International All Rights Reserved.要 約京都大学ジャーナルクラブ論文タイトル、書誌情報、要約Effectiveness of mRNA BNT162b2 COVID-19 vaccine up to 6months in a large integrated health system in the USA: a retrospective cohort study. Tartof SY, et al. Lancet. 2021JOURNALCLUB
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